英語を話せるようになるのに、音読は有効?

 

音読は、英語を声に出すトレーニングなので、英会話ができるようになるイメージがあります。

私も、拙著「英語で人生が変わる独学術」の中で、音読の効果について書かせていただいています。

 

でも、英会話を教えていると、生徒さんから「音読って英会話にどれくらい効果がありますか?」というご質問をよくいただきます。

そこで、私自身の経験も踏まえて、音読で英語が話せるようになるのかどうかを見ていきたいと思います。

 

 

まず、音読の効果についてですが

「英語上達完全マップ」(森沢洋介著、ベレ出版)

の中に、次のように書かれています。

「英語が身につかない原因は、才能がないためではなく、ただ効果的なメソッドに従って十分なトレーニングを積んでいないということ尽きる。

英語力をつけるための基本法則は極めて単純。

意味・文構造を理解できる英文を処理しながら一つでも多く自分の中に取り入れ、英語の文法・構文に則った文を一つでも多く作る、ということを行えばいい」

このために、音読が効果的ということが書かれていました。

つまり、なぜ音読が英語の勉強に効果があるのか。

それは、英文を理解しながら繰り返し自分の口から発していく作業は、英語を英語の語順で直接・瞬間的に受け入れる体質を養成するからです。

それが、リスニング力も含め、英語の基礎能力を総合的に高めてくれるのです。

そして、この本から学んだ音読を実践する上での重要ポイントを忠実に守った結果、私の英語力は次のように変化していきました。

 

音読を始めて1〜2年(TOEIC550→800にアップ)

・中学英語の単語や文法はきちんと理解できるようになった

・発音やイントネーションはネイティブに少し近づいた

・耳にする英語が意味のある言葉として聞こえ始めた

 

音読の勉強法を始めたのは英語やり直しを決めたときと同時期です。

すぐに習慣として定着させました。

とは言っても音読は声を出す作業なので、1日最大30分程度です。

音読でリスニング力がアップするなんて…と半信半疑なところもありました。

 

でも、始めてから3ヶ月後のTOEIC公開テストで、なんとリスニングのスコアが100アップしたのです。

黙って英語を聞き流しているときと比べると、音読の方がリスニング力アップに役立つことを実感しました。

 

音読を始めて3年(TOEIC900前後)

・多少、ニュース英語やTEDトークの内容が聞き取れるようになった

・発音やイントネーションをほめられることが多くなった

・TOEICのリスニングで満点を取れることが増えてきた

 

音読の教材は、始めた当初は中学1年生の教科書レベルのものでしたが、自分の音読レベルが上がるにつれて、使う教材は変化していきました。

ときにNHKラジオ講座のテキストだったり、ボキャブラリー用の教材だったりです。

 

では、音読は、英会話にどんな効果をもたらすのでしょうか?

 

 

1 英語を発音するときに滑らかに口が動く

音読で口の周りの英語用筋肉が鍛えられるので、滑らかに口が動くようになります。

(これは初めてやるスポーツで使っていなかった筋肉を使っていく感覚と似ています)

 

2 脳の働きが活性化する

音読をしているとき、脳内では音読の内容を「認識」し、声に出すことで「表現」をしています。

前頭前野を中心に脳全体が活発に動いています。

黙読は

「目で読む」

作業ですが、音読は

「目で読み、声に出して耳で聞く」

と複数の作業を同時に行っています。

視覚や聴覚など複数の感覚機能を使うため、脳の働きを高めることができるのです。

特に日本人が使い慣れていない英語を音読すると、日本語を音読する以上に脳に負荷がかかるので、脳が活性化され、よりよい学習効果が得られると考えられています。

 

3 リスニング力、発音、イントネーションが鍛えられる

リスニング力が鍛えられるので、英会話の時に相手の英語がよく聞き取れるようになります。

スムーズに会話をするには、相手の言っていることを聞き取れるのは大前提ですよね。

発音とイントネーションもよくなることで、オンライン英会話などで外国人の先生と話をしても、発音が悪くて通じないといった悩みがほぼなくなりました。

また、人前で英語を発音することへの抵抗もなくなります。

発音の心配をしなくてよくなると、話すときには会話の内容に集中できるようになります。

 

音読には、こういった効果があります。

でも。

でもですね。

 

音読だけでは英語を「話せる」ようにならないのです。

さんざん音読を推奨しておきながら、なのですが、これは事実です。

 

音読は、英語をたくさん声に出す勉強法なので

「これで英会話もバッチリ」

と思われる方も多いと思います。

でも、違うんです。

 

もちろん、上記のような効果があるのは確かなので、やる意味がないわけではありません。

でも

「言いたいことがスラスラ英語で言えるようになる」

という効果は、期待できないのです。

 

なぜ、音読は英会話に効果がないのでしょうか。

音読は、話すと聞くを同時に行う作業なので、最初はそれだけで精一杯です。

脳は「聞く」と「繰り返す」を行うという、リアクション(受動)状態になります。

つまり、「話す」というアクション(能動)状態にはならないということなのです。

現実的なことをお伝えすると、英会話ができるようになるには、能動的に「話そう」という意識を持って練習することが必須です。

 

それでも音読で英会話力を伸ばすにはどうしたらいいか、ということですが、音読は、インプットとアウトプットの中間くらいに位置すると考えるといいと思います。

英語が話せるようになるには

「アウトプットに特化したトレーニング」

に勝るものはありません。

なので、音読をすれば英語が話せるようになると思い込まずに

「リスニング力、発音、イントネーションを鍛える、口の筋肉を鍛える」

こういった効果のためやる、と理解して実践してみてください。

 

私が音読で得られた効果には次のようなものがあります。

・声をしっかり出して音読する→英語を話すときの発音やイントネーションがよくなった

・感情をこめてお手本と同じように音読する→聞いて繰り返す、を何度もやり、次の展開を予測して、話し手の言葉に感情を入れてリピートすることで、英会話力向上にもつながった

 

まとめますと。

音読はもちろん英会話の基礎力をつけるには大いに役立ちますが、それ以外に、英語が話せるようになるためのスピーキング(アウトプット)練習は必須、ということになります。

 

少しでもご参考になれば幸いです。

ここまでお読みくださりありがとうございます😊

 

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