英語の「話す、聞く」力を底上げする方法と手順を紹介します

 

「英語のハノン」とは?

 

皆さんは「ハノン」とは何かご存知でしょうか?

ハノンというのはピアノの教本で、基礎練習に欠かせない「ドリル」です。

「無意識のうちに指を思い通りに動かせるようにする」

トレーニングのための教材。

私もピアノを20年近く習っていましたが、ハノンは初期の頃に取り組みました。

今回ご紹介する

「英語のハノン」

は、まさにピアノのそれと同じです。

「スピーキング力を高める教材」

として話題になりました。

シリーズには

「初級編」

「中級編」

「上級編」

「フレーズ集」

の4つが出ています。

その中の「初級編」について、今日はご紹介していきます。

 

「英語のハノン 初級 ―スピーキングのためのやりなおし英文法スーパードリル」」

 

「英語のハノン 初級 ―スピーキングのためのやりなおし英文法スーパードリル」」(筑摩書房)

 

英文法の「縦軸」と「横軸」

 

英文法の縦軸とは、英語の基本構造である五文型を指します。

具体的な単元だと、受動態や不定詞、動名詞、接続詞などを指します。

そして文型とは

「英語の文の『型』」

のことです。

たとえば

「I am Aki.」は第二文型(SVC)

「Aki plays tennis.」は第三文型(SVO)

といったように、すべての英文は五文型のいずれかに分類されます。

一方、横軸とは

「否定文・疑問文・助動詞など、全ての文型(縦軸)に共通する文法」

を指します。

これはすべての文型に共通する部分です。

英語を話せるようになるためには、この横軸の文法項目も使いこなせるようになる必要があります。

でも、学校の教科書やほかの文法書は

・縦軸と横軸がリニアに羅列されている

・そのことによって縦軸となる英語の構造が見づらくなってしまう

といった作り込みになっています。

「リニア」とは直線的な順序や進行のこと。

つまり

「縦軸と横軸が交わることなくそれぞれの項目を学ぶ」

ということ。

これが、学校文法が「使えない」と言われる一因にもなっているのです。

 

縦軸と横軸をクロスさせたドリル

 

本書では、あくまで縦軸である五文型に軸を置きつつ、横軸である時制・否定文・疑問文の作り方などをクロスさせてドリル練習をするといった方法が採られています。

すべての英文法は、縦軸と横軸がクロスするどこかに該当します。

本書では、一見複雑そうに見える英文法を

「縦軸」「横軸」

という考え方でわかりやすく整理しています。

これまでの文法の参考書と明らかに異なる点は

「英文法の本なのに、日本語の説明が必要最小限である」

ところです。

縦軸と横軸が交差しながら「話す」ことに主眼を置いたドリルが掲載されています。

文法=分厚い文法書をうんうん唸りながら読み、理解するもの

といった、これまでの常識をいい意味で覆してくれています。

文法書の多くは、解説が丁寧なものほど、日本語の量が多いです。

「この参考書は解説が詳しいからとてもいい」

というレビューもよく見かけます。

解説が詳しい=悪い

ということではありません。

でも、参考書によっては

「英語の勉強をしているはずなのに日本語ばかり読んでいる」

といった状況も生じてしまうのです。

英語の勉強をしているはずなのに、ましてやスピーキング力も高めたいと思っているとしたら、日本語にばかり触れていることは

「英語を『運用する』」

という観点からは、ずれているような気がするのです。

私自身

「文法をやり直そう!」

と思ったときに分厚い文法書を手に取り、ものの3分で嫌になった記憶があります。

同じようなジレンマを抱えている方は、本書によってこのストレスが解消されることと思います。

 

英文法を「使える英語」に変えていく

 

本書の目的の一つに

「英文法を使える英語に」

というコンセプトが挙げられています。

本書には次のような記載があります(以下引用)。

「中学英語を本当にスピーキングで活かすことができるなら、全く不自由なく日常会話をこなすことができ、高校英語を口頭運用できれば、きわめて高いレベルで英語ネイティブの知識人と十分に渡り合うことができます。」

 

これには私も激しく同意で、いくら英語の「知識」があっても「運用」する力がなければ英会話はできるようになりません。

私自身、TOEICのスコアを900取れた頃でも、ろくに話せなかったからです。

それについてはこちらの記事をご覧ください。

英語を話すのにいちばん必要な力とは?

 

なぜ

「知っているのに話せない」

という現象が起きるかというと

知っている言葉と使える言葉には10倍もの開きがあるからです。

リスニングの問題も出てくるため、英語となると、その差はさらに大きくなります。

 

「オーディオ・リンガル・メソッド」という方法

 

ということで、本書のメインテーマは

「英文法を『使える英語にする』」

となっています。

そこで採られているのが

「オーディオ・リンガル・メソッド」

と言われるものです。

かいつまんでいうと

「一定のパターンを大量に反復して自分のものにする」

という練習方法です。

文法を一通りやってから…ではなく

「文法を「やり直し」ながら「同時にドリルで練習をする」」

というのが本書の最大の特徴なのです。

 

タイトルが「英語のハノン」である理由

 

ハノンとはピアノの教本で、基礎練習に欠かせない「ドリル」です。

「無意識のうちに指を思い通りに動かせるようにする」

トレーニングのための教材です。

私もピアノを20年近く習っていましたが、ハノンは初期の頃に取り組みました。

「英語のハノン」は、まさにピアノのそれと同じです。

英語学習はよく楽器の練習に例えられますが

ピアノを弾きながら感情表現に集中できるようになるためには

「無意識に指を動かせているようになる」

ことが必要です。

これを英語に当てはめると

「会話の意味に集中するには英語の形(英文法)が自動的に出てくるくらい

自分の中に染み込ませている必要がある」

ということと同じなのです。

そしてそれを実現するための教材がこの「英語のハノン」です。

 

「ドリル」ってどんなもの?

 

では実際にどんなドリルがあるのかを見ていきます。

本書には、2種類のトレーニング法があります。

1 Consecutive Drill (連続ドリル)

=文に新たな語句を代入していく

2 One-Step/Two-Step/ Three-Step Drill (1段階/2段階/3段階ドリル)

=指示に従い、文を変換していく

では、それぞれ具体例を見てみます。

 

1 Consecutive Drill (連続ドリル)

①音声の文章を2回繰り返す

②その後、英語で指示が聞こえてくる

③指示された単語に変えて文章を言い換える

④正解の文章が流れてくるので2回繰り返す

<具体例>

①(音声)He is in the library. → (自分) He is in the library. ※2回繰り返す

②(音声)They

③(自分)They are in the library.

④(音声)They are in the library.→ (自分)They are in the library. ※2回繰り返す

 

これだけを見ると簡単そうですよね。

ところが、やってみるとわかるのですが…

ユニットが進むにつれて文章が長くなったり、文法項目も複雑なものが登場してくるため、かなりタフなトレーニングになります。

「全然簡単じゃない!」

「すぐに言えなくてもどかしい!」

といった感覚を必ず味わうことになります。

(まさに負荷トレーニング!)

 

2 One-Step/Two-Step/ Three-Step Drill(1段階/2段階/3段階ドリル)

①音声の文章を2回繰り返す

②その後

「negative(否定文)(にしなさい)」

「question(疑問文)(にしなさい)」

といった指示が聞こえてくる

③指示どおりに文章を言い換える

④正解の文章が流れてくるので2回繰り返す

<具体例>

①(音声)The shop is near the station. →(自分)The shop is near the station. ※2回繰り返す

②(音声)negative

③(自分)The shop isn’t near the station.

④(音声)The shop isn’t near the station. →(自分)The shop isn’t near the station. ※2回繰り返す

ここまでがOne-Step(1段階)です。

その先Two-Step/ Three-Step Drillになると、それぞれ2段階、3段階の変換をすることになります。

 

いかがでしょうか?

実際にドリルをやってみると

「お手本の音声についていけない」

「文章をリテンション(覚えておくこと)できない」

と、四苦八苦しました。

本書の目的の一つに

「音声と同じスピードで英語を話すことを目指す」

というのがあるため、ポーズの時間が短いのです 涙

「ええと…ここは副詞を変換するから…」

などと考えているうちに、次の音声が容赦なく聞こえてくるのです。

そしてその

「駆り立てられる感」

こそが、英語のハノンの醍醐味であるとされています。

 

「英語のハノン」をやってみて得られた効果

 

私は初級編に始まり、中級編、上級編と、2年以上毎日進めてきました。

ほぼ毎日取り組んでいるので、今現在感じている本書の効果をまとめてみます。

 

1 発音がよくなった

 

これは人から

「発音が綺麗ですね」

と言われることが増えて気づいたのですが

「音声の後に続いて発話する」

ことをひたすら繰り返していたために、モノマネすることが上手くなり、その結果発音がよくなったということが考えられます。

 

2 英語が自動的に口から出るようになった

 

オンライン英会話をしているときに、無意識のうちに英語が口から出てくることが増えました。

これまでは発話する前に

「えーとこれは英語だとなんて言えばいいかな」

と考えることもよくあったのですが

「日本語から英語に変換するまでの時間が短縮された」

ということを実感するようになりました。

 

3 ネイティブらしさを出す「英音法」を学べた

 

初級編では

「リンキング」

から

「ネイザル・リリース」

と言われるものまで「英音法」(英語の音変化のルール)について学習します。

この音変化のルールがわからないと、音声についていけなくなってしまいます。

上にも書いたように、ドリルではポーズの時間が短くなっています。

なので、英音法を使わないと音声に置いていかれることになり、次に進めないのです。

これまで「英音法」なるものは学校などで教わったことがなかったため、大変勉強になりました。

 

「英語のハノン」が向いている人、向いていない人

 

実際にやってみて、私自身は本書は

「スピーキング(リスニングも)の基礎力をつける」

良書だと感じています。

が、ネットのレビューなどを見ると、本書が向いている人、そうでない人にわかれると思います。

私自身の見解を示すと、次のようになります。

 

向いている人

 

・「スピーキング力を基礎から鍛え直したい」と思っている人

・長期目線で継続できる人

・反復練習に耐えられる人

 

向いていない人

 

・中学英文法があやふやな人

・短期間で効果を得たい人

 

「英語のハノン」を続けるコツは?

 

ここまで「英語のハノン」の特徴や効果についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

とは言え、どんなに教材がよくても、実際に続けられないと意味がないですよね。

本書続けるコツを2つご紹介します。

 

1 1日に取り組む量は少なくていい

 

これだけやる!と欲張らないことはとても大事です。

本書は0から19まで、全部で20ユニットで構成されていますが

「1日1ユニットやる」

というのは無謀な計画です。

1ユニットは、4〜8つの「ドリル」からなります。

そして、1ドリルは5つのセンテンスからなります。

すると、1ユニット全体で、最大40もの例文があるということなのです。

これまでお伝えしてきたように、とても1回ではスムーズに言えるようにはなりません。

1センテンスでも数回練習することになる。

そうすると、それを40文毎日続けるというのは、かなり大変だということが想像できると思います。

時間も相当かかります。

なので

「1日で1ユニットやる」

などと無理をする必要はまったくありません。

 

2 慣れるまでは開本して英文を見ながら取り組む

 

本書のトレーニングは

「音声を聞いて英作する」

というのが基本スタンスです。

なので、ちゃんとやろうとする人ほど

「自力で作文しよう」

と意気込みがちです。

でもそれを最初からやる必要はないのです。

まだ自転車にほとんど乗れない状態なのに、補助輪がないまま練習しても、転んで痛い思いをするだけですよね。

自転車に乗ることすら怖くなってしまうかもしれません。

そんな無理する必要、どこにもありません。

英語学習もまったく同じです。

いきなり音声のようにはできないわけですから、最初はしっかり文章を見ながら練習します。

「英語の流れ、リズム、イントネーション」

こういったことを体に覚え込ませることのほうが大事です。

本書の中にも

「ドリルはまず本書を開いた状態から進めます」

と記載されています。

堂々と英文を見ながら練習しましょう。

 

というわけで、本日は「英語のハノン」の初級のご紹介でした。

「英語のハノン」に限ったことではありませんが、英語学習は

「継続すること」

が、結果を確実に出すコツです。

粘りよく何度も反復すること。

 

まとめ

 

自分のことを振り返ってみても、ピアノの練習も、継続したからこそうまくなれました。

「1日練習してみたけど上手くできないからやめる」

と投げ出したことはなく、少しずつ少しずつ、何年もかけて弾けるようになっていったのです。

思い通りにできないからといってすぐに投げ出しては、どんなことも習得できません。

最初はうまくできないのが当たり前。

それでいいのです。

それを受け入れて、続けていく。

続けていく意志と覚悟を持つ。

私も毎日「英語のハノン」に取り組んでいます。

一緒に、頑張っていきませんか(^^)

 

「英語のハノン 初級 ―スピーキングのためのやりなおし英文法スーパードリル」(筑摩書房)

 

少しでもご参考になれば幸いです。

ここまでお読みくださりありがとうございます😊

 

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